豪華なサンピエトロ大聖堂は、どこを見たらいいのか分からないくらいすべてが豪華です!どこを写真にとればいいの?どこを見ればいいの?と迷ってしまいますよね。
いろんなところに目を奪われているうちに、肝心なところを見損ねた!とならないように、サンピエトロ大聖堂を観光するのに外せないポイントを紹介します!
目次
1.サン・ピエトロ広場
サン・ピエトロ大聖堂に入るためには、まずサン・ピエトロ広場を通ることになります。
サン・ピエトロ広場は、イタリアの巨匠ベルニーニが設計しました。広場の中央にはオベリスク、その両端に噴水、そして広場をぐるりと取り囲む円廊からなっています。
4柱が重なり合うベルニーニポイント
円廊は4列の柱で支えられています。
この広場にある「centro del colonnato」と地面に書かれたポイントに立ってもう一度、広場の円柱を見てください。
回廊を支えている4列の柱がぴったりと重なってそれぞれ1本に見えます!
他の場所から見ると、4列の柱が向こう側の景色を遮り、閉ざされているように見えますが、この場所に立つと向こう側の景色が見え、開かれているように見えます。
これはベルニーニが意図して設計しており、「閉じられている(守られている)場所であり、開かれている場所でもある」空間をつくり、「神の救いの光が世界中に届くように」という思いが込められているそうです。
守られた聖地であるとともに、ここから世界中に祈りを発信する場所でもあるのですね。
この仕掛けに気づいてもらうために、「ベルニーニポイント」を作って教えてくれているのもニクイですね!
柱の上に立つ140体の聖人像
4列のドーリア円柱は実に284本。円柱が支えている柱廊の上には140体もの聖人像が乗っています。
下から見ると像は小さく見えますが、高さはなんと3.2メートル!人の約2倍です。
そして、それぞれの聖人は広場を見下ろすように立っています。守られている感がすごいです!
2.大円蓋「クーポラ」
大円蓋(クーポラ)はミケランジェロが設計しました。しかし、完成したのはミケランジェロの死後で、彼が完成した天蓋を見ることはありませんでした。
クーポラの淵に沿って、
「あなたはペテロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。わたしはあなたに天の国の鍵を授ける」(マタイ16:17-19)
と書かれています。イエス・キリストの言葉で、「私」はそのままキリストのことを指しています。
高さ132.5m、幅42mととても巨大で、ここの部分だけで普通の教会がすっぽりと入ってしまう大きさです!
ミケランジェロはもともとのラファエロ案から変更する際、採光面を特に考えたそうで、窓から光を取り入れる天蓋を設計しました。時間帯や天候によっては、人工的な「天使の階段」を聖堂内に作り出します。
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クーポラには登ったほうが良い?
サン・ピエトロ大聖堂は、エレベータもしくは階段を使ってクーポラに登ることが出来、ここからヴァチカンとローマ市内を見渡すことが出来ます。
サン・ピエトロ広場の全体が見渡せ、ベルニーニが「信者をあたたかく向かい入れる両腕」を意図して設計したコロネードを確かめることが出来ます。
また、ファザード部分の140体の聖人像も、広場からは違った角度で見ることが可能です。
クーポラに登るのには、混んでいると1時間ほど並ぶこともあります。私的には1時間も並ぶのはもったいないと思うので、もし、時間がかかりそうであればサン・ピエトロ大聖堂や、隣のバチカン美術館を見学するのに時間を使ったほうが良いでしょう。
混んでいなければ、のぼられることをオススメします。
3.ミケランジェロ作「ピエタ像」
ミケランジェロが若干23歳の時の作品。ミケランジェロが唯一署名をした作品です。
神格化されたマリア様とキリストの像です。若すぎるマリアに、当時は批判の声もあったそうですが、私としてはあまりにも美しいピエタ像だと思います。
マリア様の指がもがれたり、像を破壊しようとする輩がいたため、現在はガラス越しの鑑賞です。暗いうえにガラス越しなので、写真が撮りにくいです!要注意!(フラッシュはたかないほうがきれいに撮影できます)
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4.ベルニーニ作 ブロンズの大天蓋「バルダッキーノ」
うねうねとした柱に支えられた29メートルもの大天蓋。こちらもベルニーニの作品です。
ちょうど光が差してくるクーポラの真下にある暗い大天蓋は、周りの光を吸収するかのように存在していて、豪華な内部の装飾のなかでひときわ存在感を放っています。これが白色とか金で装飾されていたらこれほどの存在感はなかったでしょう。
ちょうどこの下に、聖ペテロの墓があるそうです。
5.聖ヴェロニカの像
クーポラを支えている4つの柱の下には4人の聖人像が飾られています。
その中でも面白く注目すべきは「聖ヴェロニカの像」。
彼女は、キリストが十字架を背負ってゴルゴダの丘に向かう際、その血と汗を布で拭ったとされます。
このヴェロニカ像が持っている布にはうっすらとキリストの顔が写っています!
下からでもハッキリと分かるので、ぜひ布部分に注目してみてくださいね。
5.聖ペトロ像
サン・ピエトロというのは、この聖人「聖ペトロ」のこと。
サン・ピエトロ大聖堂は、もともと聖ペトロの墓を祀る聖堂として建てられています。
信者が祈りを捧げる際に、像の足に触れるため、足が摩擦によってピカピカになっています。どれだけ多くの信者が参拝したのかが分かりますね。
なぜ、カトリックの総本山で祀られているのが聖ペトロなのか?
キリストではなく、キリストの一番弟子である聖ペトロの墓を祀る聖堂が総本山とされているのは、不思議に思いませんか?
これは、クーポラに書かれているキリストの言葉に由来しています。
カトリックでは、聖ペトロを初代ローマ教皇として、キリストから受け取った「天の国の鍵」を代々、ローマ教皇が継承するとみなしています。
マタイの一節は、「あなた(ペテロ)が地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上でも解くことは、天上でも解かれる」と続いており、ペテロ(と代々のローマ教皇)が地上と天上をつなぐ存在であることから、聖ペテロが祀られている場所が総本山にふさわしいのだと考えられます。
6.聖ペトロの司教座
大聖堂の一番奥の場所にある、「聖ペトロの司教座」は、こちらもベルニーニの作品です。
よく見ると、椅子が台座の上に置いてあります。この椅子は、聖ペテロがローマ司教だった時に実際に使用していた椅子だそうです。もともとは粗末な椅子だったそうですがベルニーニがブロンズの装飾を施して、豪華なものになりました。
こちらは、ローマ教皇のみ座ることが許されています。
椅子の上部には、雲の中の天使が、光を表す黄金の塊が力強く降り注ぐかのように作られています。その中央には鳩が描かれたステンドグラスがはめ込まれています。
なぜ、鳩なのかというと、イエスが洗礼を受けたときに、「聖霊が鳩のように降りてきた」と言われていることから、鳩は聖霊を表しているそうです。
光を通すステンドグラスを使うことで、自然の光があたかも教皇の栄光を示すように作られています。考えられていますね。
7.ベルニーニ作の教皇アレクサンデル7世の墓碑
赤の色大理石を使った美しい墓碑です。教皇アレクサンデル7世は、ベルニーニのパトロンとなり、彼の作品が世にたくさん残る手伝いをした人物。
ベルニーニが80歳の時の作品だそうで、サン・ピエトロ大聖堂の中ではこの作品が彼の最後の作品になりました。
ドレープ(布のひだ)のやわらかい表現が本当に柔らかい布でできているのではないかと錯覚するほどの出来です。
8.25年に一度クリスマスの日にだけ開かれる「聖年の扉」
玄関廊から、堂内への扉は全部で5つあります。
それぞれ、「聖年の扉」「死の扉」「善と悪の扉」「中央扉」「秘蹟の扉」と呼ばれており、そのうち一番右の「聖年の扉」は、普段は内側からコンクリートで固められており、25年に一度クリスマスの日にだけ開かれるそうです。
この扉をくぐるとすべての罪が浄化されると言われています。
おまけ 教皇の邸宅
サン・ピエトロ大聖堂に向かって右側にある建物が「バチカン宮殿」。教皇の住居でもあります。
教皇の住居部分はもちろん非公開。
バチカン宮殿の大半を占めるバチカン美術館は、見学可能です!システィーナ礼拝堂は必見ですよ!
サン・ピエトロ大聖堂の観光情報
営業時間:
<大聖堂>(4/1~9/30)7時~19時、(10/1~3/31)7時~18時30分
<クーポラ>(4/1~9/30)8時~18時、(10/1~3/31)8時~17時
入場料:無料
クーポラにのぼるのには、エレベータ:10ユーロ、階段:8ユーロ
注意点:肌が露出するなどの軽装での入場不可。
公式サイト:http://www.vatican.va/various/basiliche/san_pietro/index_it.htm
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