ピエタ ミケランジェロ

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【美術史裏話】3体のピエタからみるミケランジェロの造形の移り変わりと到達点

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ミケランジェロは生涯で3体、(もしくは4体)のピエタ像を制作しました。

1体は、若干23歳の時、2体目は70代、3体目は晩年。

その3体のピエタ像からミケランジェロが考える「美」の到達点が見えてきます。

3体のピエタに見るミケランジェロの生涯

ピエタとは、

ピエタ(イタリア語:Pietà、哀れみ・慈悲などの意)とは、聖母子像のうち、死んで十字架から降ろされたキリストを抱く母マリア(聖母マリア)の彫刻や絵の事を指す。 多くの芸術家がピエタを製作しており、中でもミケランジェロが1499年に完成させた、現在のバチカンのサン・ピエトロ大聖堂にあるものが有名。(ピエタ - Wikipedia)

ピエタは、多くの芸術家が題材にして作品を制作しています。ミケランジェロは生涯で3体、(もしくは4体)のピエタ像を制作しました。(その中の一体の『パレストリーナのピエタ』についてはミケランジェロ制作のものかが疑問視されており現在も不明とされています。)

ここでは、ミケランジェロが制作したピエタ3体を紹介します。

1.バチカンのピエタ

バチカンのサンピエトロ大聖堂にあるピエタです。

ミケランジェロが若干23歳の時に作成したものです。この作品の美しさと素晴らしい技量によって彼の名声は確立され、有名なダビデ像を委託されることとなりました。

衣装の布の質感と言いますか、本当に柔らかな布でできているのではないかと錯覚するほどの出来ですよね。細部まで磨き上げられており、並外れた美しさを放っています。実物は、ガラス越しにしか見ることはできませんが、少し離れたところからでもその美しさは際立っており、空気まで洗練されているかのようなオーラをまとった作品です。

聖母様は若く美しく、その表情も穏やかで題材である「キリストの死」という悲壮さから切り離され、神格化されたものであると言えます。

2.ドゥオモのピエタ(バンディーニのピエタ)

ミケランジェロは70代の時に自分の墓のためにこのピエタを制作しました。しかし、途中で大理石にひびが入り未完成のまま放置されました。

のちにミケランジェロの弟子が制作を引き継ぎましたが、ミケランジェロの彫った部分とは明らかに異質で、違和感があります。(像の左側のマグダラのマリアの部分です)

いずれにせよ、引き継いだ弟子も制作をあきらめ、未完成のままです。

フィレンツェのサンタマリア・デル・フィオーレ付属美術館(ドゥオモ付属美術館)に飾られています。

3.ロンダニーニのピエタ

ロンダニーニのピエタ

マリア様がキリストを抱き起そうとしているようにも見えます。

こちらも未完と言われています。88歳のミケランジェロが制作した最後のピエタです。

なんと死ぬ3日前まで彫っていたそうです。制作にかける思いの大きさが伝わります。

一度彫り進めたものを、途中で構想を換え彫り直し、キリストの手前にあるのは元はキリストの腕だったものですが、彫り直した際に、キリストから切り離されています。

キリストやマリア様の顔はかろうじて残されていますが、生身の人を感じさせるものは残っておらず、肉体的な表現を捨て、精神部分を象徴化して表現したものだと言われています。ぼんやりとしてつかみどころがない感じがしますね。

ノミで荒々しく彫られた上半身部分は未完成ゆえかはたまた、それが新たな美の表現方法であったのか。

こちらは、ミラノのスフォルツェスコ城博物館に飾ってあります。

↓こちらの記事にもロンダニーニのピエタについて考察を書いています。
>>【イタリア】美しい大聖堂 世界遺産ミラノの観光スポット9選

最後に

若いときに作成されたローマのピエタからは、肉感的な表現や質感などのリアルさを究極的に表現したのに対し、晩年のロンダニーニのピエタからは現代的な偶像化した美術の表現方法の終着点が見えます。

ピエタという作品を通じて、ミケランジェロの彫刻や美術の表現方法の生涯を通しての移り変わりを見て取ることができます。

綺麗なもの、美しいものとは何か、美術とは何か、表現とは何か、そういったものを考えさせられますね。

すべてイタリア国内で見ることができますので、イタリア旅行に行かれた際はチェックしてみてください。

アイキャッチ画像 Photo by xlibber - Michelangelo's Pietà

 

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